「Chelsea Bridge」は、ビリー・ストレイホーンが1941年に作曲した印象主義的なジャズ・スタンダードである。ヨーロッパ旅行中にターナーまたはホイッスラーの橋の絵画に触発されて書かれたとされるが、実際に描かれていたのはバタシー橋であったという逸話が残る。
D♭メジャーを基調とする32小節のAABA形式で、冒頭のAセクションではマイナー系の浮遊するハーモニーが水面の揺らぎを思わせる幻想的な雰囲気を醸し出す。ブリッジではE、A、Gなど遠隔調へ大胆に転調し、最後に半音階的に下降するドミナント連鎖で元の調に回帰する。ドビュッシーやラヴェルの影響が色濃く、ギル・エヴァンスが「あの瞬間からずっと同じことを目指してきた」と語ったほど、ジャズ作曲・編曲家に多大な影響を与えた楽曲である。
1941年12月のデューク・エリントン楽団によるオリジナル録音では、ストレイホーン自身がピアノを弾き、ベン・ウェブスターのテナー・サックスが印象的なソロを聴かせる。ストレイホーン本人による無伴奏ピアノ・ソロ版がアルバムThe Peaceful Side(1961)に収録されている。