「Rose Room」は、1917年にアート・ヒックマンが作曲したジャズ初期の重要なスタンダードである。サンフランシスコのセント・フランシス・ホテル内のボールルーム「ローズ・ルーム」にちなんで名づけられた。作曲家アレック・ワイルダーが「明らかに時代の先を行っていた」と評した、32小節形式の洗練された楽曲である。
キーはA♭(リードシートによってはGやBbも見られる)。32小節のフォームで、シンプルながら心地よいコード進行がスウィング・スタイルの即興に最適な土台を提供する。デューク・エリントンは1932年の録音でこの曲を再び人気曲に押し上げ、さらに1939年にはその進行を基に名曲「In a Mellotone」を作曲した。つまり本作はエリントンの創作にも直接影響を与えた歴史的に重要な一曲である。
最も伝説的なエピソードは、1939年に若きチャーリー・クリスチャンがベニー・グッドマンのバンドに飛び入りした際の曲がこの「Rose Room」だったということである。グッドマンのマネージャーが密かにクリスチャンをステージに上げたところ、クリスチャンは45分間にわたってソロを弾き続け、グッドマンを圧倒した。この逸話はジャズ・ギター史上最も有名なオーディションとして語り継がれている。