「Rosetta」は、1933年にピアニストのアール・ハインズとアレンジャーのアンリ・ウードが共作したジャズ・スタンダードである。ハインズはシカゴ・ジャズの立役者として知られ、「ピアノのトランペット・スタイル」と称される革新的な奏法でジャズ・ピアノの歴史を切り拓いた。
形式は32小節のAABA、キーはFメジャー。明るく歌いやすいメロディと素直なコード進行が特徴で、ジャム・セッションでも取り上げやすい親しみやすさを持つ。特筆すべきは、チャーリー・パーカーがこの曲のコード進行を土台にして名曲「Yardbird Suite」を書いたことである。つまり「Yardbird Suite」は「Rosetta」のコンファクト(既存のコード進行に新たなメロディを乗せた楽曲)であり、パーカーがこの進行にビバップの語法を注入した形となる。
初録音は1933年のアール・ハインズ・アンド・ヒズ・オーケストラによるVictor盤で、ハインズの華麗なピアノ・ソロが堪能できる。1939年には同じくハインズによる2つのソロ・ピアノ・テイクが録音されており、即興演奏の比較研究の素材としても名高い。アート・テイタムも愛奏曲のひとつとして取り上げている。