「ナイト・イン・チュニジア」(正式には「A Night in Tunisia」)は、ディジー・ガレスピーが1942年頃に作曲したビバップの金字塔的楽曲である。ガレスピーはアフロ・キューバン・ジャズの先駆者であり、この曲にはその実験精神が凝縮されている。
32小節のAABA形式で、キーはDマイナー。最も革新的な特徴は、Aセクションのベースラインがフラット5th(E♭)からドミナント(D)へ半音で解決する独特のパターンで、これがエキゾチックなサウンドの核心をなしている。コード進行にはE♭7からDm(♭II7→Im)というトライトーン・サブスティテューションが用いられ、北アフリカ的な異国情緒とビバップのハーモニック・ランゲージが融合している。ブリッジではメジャー・キーへの転調があり、インタールードのブレイク・セクションも含めたドラマティックなアレンジが演奏の醍醐味だ。
ディジー・ガレスピー自身の録音は数多いが、チャーリー・パーカーとの1946年の共演盤が歴史的名演として名高い。アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズの複数のライヴ録音も、この曲の決定版として広く親しまれている。