「ムード・インディゴ」は、1930年にデューク・エリントンとバーニー・ビガードが共作したジャズの古典的名曲である。当初「ドリーミー・ブルース」と題され、コットン・クラブからのラジオ放送のために書かれた。のちに歌詞が加えられ、ヴォーカル・スタンダードとしても定着した。
楽曲は2つの16小節ストレインからなる独自の構成を持ち、一般的なAABA形式とは異なる。キーはA♭が広く用いられる。最大の革新は、エリントンによるヴォイシングの逆転にある。当時の慣例ではクラリネットが最高音、トロンボーンが最低音を担当していたが、エリントンはこれを「上下逆さま」にし、トロンボーンをレジスターの最高域に、クラリネットを最低域に配置した。ミュート・トランペット、ミュート・トロンボーン、クラリネットの三者が生む倍音の融合は、まるで第四の楽器が鳴っているかのような「マイク・トーン」効果を生み出し、深い憂愁に満ちたサウンドを実現している。
初録音は1930年10月17日のエリントン楽団によるBrunswick盤で、アーサー・ウェッツェル(トランペット)、トリッキー・サム・ナントン(トロンボーン)、バーニー・ビガード(クラリネット)の三重奏が核を担った。1931年のBrunswick盤は1975年にグラミー殿堂入りを果たしている。エラ・フィッツジェラルドの1958年の歌唱版も広く親しまれている。