「ラバー・マン」は、ロジャー・"ラム"・ラミレス、ジミー・デイヴィス、ジェイムズ・シャーマンの3人が1941年に共作したバラードである。もともとビリー・ホリデイのために書かれた曲で、1944年の彼女の録音がこの曲を不朽のスタンダードに押し上げた。
形式は32小節AABA、キーはFメジャーが標準的。メロディの音域は狭いが、そのぶん歌詞の切実な感情がダイレクトに伝わる構成で、ブルースの要素を色濃く含んだ和声がメロディに深みを与えている。A セクションのコード進行にはII-V-Iの動きが随所にあり、ブリッジでは一時的な転調がドラマを生む。バラード・テンポで演奏されることが多く、シンプルな構造のなかにどれだけ感情を込められるかが演奏者の力量を決める曲だ。
ビリー・ホリデイの1944年の録音(Decca)が最も有名であり、彼女の代名詞的なレパートリーである。チャーリー・パーカーの1946年の録音も壮絶な演奏として知られ、サラ・ヴォーンがクリフォード・ブラウンと共演した1954年のヴァージョンも名盤として語り継がれている。