「ジャンゴ」は、モダン・ジャズ・カルテット(MJQ)のピアニスト兼音楽監督ジョン・ルイスが、1953年に亡くなったベルギー生まれのジャズ・ギタリスト、ジャンゴ・ラインハルトを追悼して1954年に作曲した楽曲である。MJQの代名詞的なレパートリーとなり、コンサートでこの曲を演奏しなければ聴衆が黙っていなかったという。
楽曲はクラシック音楽の影響を色濃く反映した独特の構造を持つ。冒頭に20小節の荘厳なテーマが置かれ、哀悼の念に満ちた旋律がFマイナーで奏でられる。その後、ソロ・セクションは32小節のサイクルで展開されるが、通常のAABA形式とは異なり、6小節のAパート×2、8小節のBパート、そして後半にブギー・リズムを含む12小節のAパートで構成される。テーマの再現で締めくくられるこの形式は、バッハ的な対位法とブルースの感覚が融合したルイスならではの作曲技法を示している。
初録音は1954年12月23日のMJQによるセッションで、ミルト・ジャクソン(vib)、パーシー・ヒース(b)、ケニー・クラーク(ds)が参加。1956年のアルバムDjango(Prestige)に収録された。ビル・エヴァンスとエディ・ゴメスによる1975年のMontreux IIIでのデュオ演奏も、この名曲の新たな魅力を引き出した名演として知られる。