「Blues March」は、テナー・サックス奏者・作曲家ベニー・ゴルソン(1929–2024)が作曲したジャズ・スタンダードである。最初の録音はブルー・ミッチェルのリーダー・デビュー作『Big 6』(1958年7月)だが、同年10月に録音されたアート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズの名盤『Moanin'』での演奏で広く知られるようになった。
曲は12小節のブルース形式を基盤としつつ、ニューオーリンズのマーチング・バンドから着想を得た行進曲風のリズムとブルースの融合が最大の特徴である。ロング・メーター(半分のテンポ感)で始まり、やがてレギュラー・テンポへ移行する構成は、ブルース形式の再解釈として独創的だ。ラッパの号令を思わせるテーマにはミリタリー・マーチの趣があり、ストレートなハーモニーと明確なセクション分けが即興にも適している。
『Moanin'』でのリー・モーガン(tp)、ボビー・ティモンズ(p)を擁するメッセンジャーズの演奏が決定的な名演。ゴルソンがアート・ファーマーと共同リーダーを務めたジャズテットでも1960年のデビュー作で録音しており、19歳のマッコイ・タイナーが参加している。