「Blue Moon」は、リチャード・ロジャーズ(1902–1979)が作曲し、ロレンツ・ハートが作詞した1934年のスタンダード・バラードである。ロジャーズ&ハートの作品で唯一、ブロードウェイ・ショーにも映画にも紐づかない独立した楽曲として発表された。
曲は32小節のAABA形式。元々は映画『Hollywood Party』のために「Prayer」として書かれ、その後「The Bad in Every Man」と改題されるなど、少なくとも3回の歌詞改訂を経て最終形に至った異例の経歴を持つ。完成形の歌詞は「ブルームーン(極めて稀なこと)」の下での幸運な出会いをロマンティックに歌い上げる。ジャズの文脈ではEbメジャーやCメジャーで演奏されることが多く、I-vi-ii-V の循環進行を基調とした親しみやすいハーモニーが特徴だ。バラードからスウィング、ボサノヴァまで幅広いスタイルで演奏される。
ビリー・エクスタインとメル・トーメが1949年にそれぞれヒットさせ、1961年にはマーセルズのドゥーワップ・ヴァージョンが全米1位を記録。エラ・フィッツジェラルドの『Rodgers and Hart Song Book』(1956年)やビリー・ホリデイの録音もジャズ・ファンに愛されている。