「You Go To My Head」は、1938年にJ・フレッド・クーツが作曲したジャズ・バラードの名曲である。クーツはティン・パン・アレーの作曲家として700曲以上を手がけたが、本曲は評論家アレック・ワイルダーに「小さな傑作」と称された特別な一曲だ。
形式はAABA(最後に10小節のコーダを持つ異色の構成)、キーはE♭メジャー。冒頭こそメジャー・キーで始まるが、2小節目からマイナー方向への転調が続き、陶酔的で熱に浮かされたような独特の雰囲気を醸し出す。繰り返し音の多いメロディは一見シンプルだが、その下で複雑な和声が動く構造がこの曲の魅力だ。コーダ部分は穏やかな諦念を湛え、歌詞の結末と見事に呼応している。
初期の名録音としてビリー・ホリデイの1938年の録音(テディ・ウィルソン楽団との共演)が名高い。フランク・シナトラのアルバムNice 'n' Easy(1960年)に収録されたヴァージョンも広く知られ、器楽ではデイヴ・ブルーベックとポール・デスモンドの1952年の共演も秀逸だ。