「Triste」は、ボサノヴァの父と称されるブラジルの作曲家アントニオ・カルロス・ジョビンが書いたボサノヴァ・ナンバーで、1967年のアルバムWaveに収録された。タイトルはポルトガル語で「哀しみ」を意味する。
キーはB♭メジャー(A メジャーでも演奏される)、32小節のAABA形式。ボサノヴァ特有のゆったりとした4/4のリズムに乗せて、ジョビンらしい洗練されたハーモニーが展開される。メロディは歌心に溢れ、繊細な転調とクロマティックな動きが切ない情感を醸し出す。シンプルに聞こえながらも、リズム・セクションとの微妙なバランスが求められ、ボサノヴァの本質を表現する上で奥の深い楽曲である。
ジョビン自身が参加したWaveが原点だが、フランク・シナトラとの共演盤Francis Albert Sinatra & Antonio Carlos Jobim(1967年)でも取り上げられ、英語圏にも広く浸透した。ジャズ・ミュージシャンによるインストゥルメンタル演奏も数多い。