「Till There Was You」は、メレディス・ウィルソンが作詞・作曲し、1957年のブロードウェイ・ミュージカルThe Music Man第2幕で図書館司書マリアンが歌うバラードとして登場した。1963年にビートルズがカヴァーし、世界的に知られるようになった。
Fメジャー、32小節のAABA形式。穏やかな半音階的メロディが美しく、特にマイナー・メジャー7thコードの響きが楽曲に独特のロマンティックな陰影を与えている。コード進行は経過和音やクロマティックな内声の動きが豊富で、シンプルに聴こえる表面の下に精巧なハーモニーが潜む。
ジャズではソニー・ロリンズのFreedom Suite(1958年)収録のテナー・トリオ演奏が名録音として知られる。ペギー・リーの1961年ヴァージョンは、若きポール・マッカートニーがこの曲を知るきっかけとなった録音でもある。