「They Can't Take That Away from Me」は、1937年にジョージ・ガーシュウィンが作曲したスタンダードである。映画Shall We Danceでフレッド・アステアが歌い、アカデミー賞にノミネートされた。ジョージは映画公開の2か月後に世を去り、本作は彼の遺作のひとつとなった。
E♭メジャー、32小節のAABA形式。メロディには同音反復とペンタトニックの要素が織り込まれ、ブリッジではGマイナーへ転調して切ない感情を深める。セカンダリー・ドミナントやクロマティックなパッシング・コードが随所に配され、ティン・パン・アレーの旋律美とジャズの語法が自然に融合している。
代表的な録音としては、エラ・フィッツジェラルドとルイ・アームストロングの共演盤Ella and Louis(1956年)が名高い。フランク・シナトラのSongs for Young Lovers(1954年)も洗練されたアレンジで高い評価を得ている。