「テナー・マドネス」は、ソニー・ロリンズが作曲し、1956年の同名アルバムTenor Madness(Prestige)のタイトル曲として録音されたブルース・ナンバーである。このセッションはジョン・コルトレーンとの唯一のスタジオ共演として、ジャズ史に特別な位置を占めている。
Bbメジャーの12小節ブルース形式で、テーマはリフ・ベースのシンプルなメロディである。進行はI7-IV7-V7を基本としたオーソドックスなブルース・チェンジだが、ロリンズのメロディにはビバップ的な機知とユーモアが詰まっている。ブルース形式の即興では、プレイヤーの個性と実力がストレートに問われるため、この曲はテナー奏者にとって一種の試金石的存在でもある。テンポはミディアム・アップで、スウィングするグルーヴが心地よい。
1956年のオリジナル録音は、ロリンズとコルトレーンという二大テナーの白熱したブロウイング・セッションが最大の聴きどころ。リズム・セクションはレッド・ガーランド(ピアノ)、ポール・チェンバース(ベース)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ドラムス)というマイルス・デイヴィス・クインテットのリズム隊である。