「タンジェリン」は、映画音楽家としても活躍したヴィクター・シャーツィンガーが作曲し、ジョニー・マーサーが作詞した楽曲で、1941年に発表された。1942年のパラマウント映画The Fleet's Inで広く紹介され、すぐにジャズ・スタンダードとなった。
32小節のAABA形式で、キーはFメジャーが一般的。A セクションはIIm7-V7-Iの進行を軸にラテン的な華やかさを持つメロディが展開し、南米の魅力的な女性を描いた歌詞の世界観にふさわしいエキゾチックな雰囲気を醸し出している。ブリッジでは長3度上への転調的な動きが対比を生み、再びトニックへ回帰する展開が心地よい。ミディアム・スウィングからボサノヴァ・アレンジまで幅広いスタイルに対応する汎用性の高い曲である。
ジミー・ドーシー楽団による1942年の録音(ヴォーカル:ヘレン・オコンネル、ボブ・エバリー)が6週連続1位の大ヒットとなった。ジャズではデクスター・ゴードンのテナー・サックス版やチェット・ベイカーのトランペット版が、よりモダンな解釈として親しまれている。