「スウィート・ロレイン」は1928年にクリフ・バーウェルが作曲し、ミッチェル・パリッシュが作詞した、スウィング期を代表するスタンダードのひとつである。バーウェルにとって唯一のヒット曲であり、パリッシュにとっては作詞家デビュー作でもあった。
Fメジャー(またはGメジャー)のAABA形式・32小節で構成される。A セクションは明るく歌いやすいメロディと、I-vi-ii-V系のオーソドックスな進行を基本とするが、部分的にクロマティックな経過和音が挿入され、初期のジャズ・ハーモニーの粋が感じられる。ブリッジではサブドミナント方向への展開がありリリカルな対比を生む。全体としてミディアム・スウィングからバラードまで幅広いテンポに対応でき、メロディの美しさとコードの奥行きが高いレベルで共存した曲である。
この曲と最も深い結びつきを持つのはナット・キング・コールである。1940年にキング・コール・トリオとしてDeccaに録音したヴァージョンが彼の歌手としての出発点となった。またアート・テイタムの1940年のソロ・ピアノ録音は米国議会図書館の全米録音登録簿に選定されるなど、ジャズ・ピアノの金字塔として名高い。