「St. Thomas」は、テナー・サックス奏者ソニー・ロリンズの代表曲で、1956年のアルバムSaxophone Colossus(Prestige)に収録されたカリプソ・ナンバーである。ヴァージン諸島出身の母親が歌っていた民謡に基づくとされる。
16小節の短いフォームで、キーはCメジャー。カリプソ特有の明るく跳ねるリズムに乗せて、キャッチーで覚えやすいリフ・メロディが展開される。コード進行はCメジャーのⅠ-Ⅲm7-Ⅵ7-Ⅱm7-Ⅴ7という基本的なダイアトニック進行を中心に構成されており、初心者にも取り組みやすい一方、ロリンズ自身がソロで示したように、シンプルな素材から無限のアイデアを引き出せる奥行きも持つ。ラテン・フィールとスウィングの両方で演奏される。
ソニー・ロリンズのSaxophone Colossus(1956年)が原点であり決定版。トミー・フラナガン(ピアノ)とマックス・ローチ(ドラムス)の絶妙なサポートの中、ロリンズの陽気で創造性に満ちたソロが輝く。ジャズ入門曲としても、上級者のセッション曲としても広く愛されている。