「Big Blues」は、アメリカのジャズ・ギタリストジム・ホール(1930–2013)が作曲したジャズ・スタンダードである。ホールはクラシック音楽の素養を持ち、抑制の効いたリリカルな演奏スタイルで「ジャズ・ギターの詩人」と称された名手だ。
曲は12小節のブルース形式で、ホールらしい繊細で洗練されたアプローチが特徴。ストレートなブルースのフレームワークの中に、知的なハーモニーとスペースを活かしたメロディが展開される。ウォーキング・ベースとドラムのグルーヴの上でソリストが即興を繰り広げるオープンな構成で、アンサンブルの対話を重視するホールの音楽観が反映されている。テンポやダイナミクスの幅が広く、さまざまな編成で演奏が楽しめる。
代表的録音は1978年のCTIレーベルのアルバム『Big Blues』で、フリューゲルホルン奏者アート・ファーマーとの再共演が実現した。ヴァイブのマイク・マニエリ、ドラムスのスティーヴ・ガッドを含むクインテットによる、繊細かつスウィング感あふれる名演である。