「Smile」は、映画人チャールズ・チャップリンが1936年の映画Modern Times(モダン・タイムス)のために作曲したインストゥルメンタル曲が原曲である。1954年にジョン・ターナーとジェフリー・パーソンズが歌詞を付け、ナット・キング・コールの歌唱で初めてヴォーカル曲として発表された。
キーはFメジャーが一般的で、AABA系の構成だが、末尾に2小節のターンアラウンドが加わる34小節フォームである点に注意が必要だ。メロディは半音階的な動きが豊富で、Fメジャーの調性感を保ちつつもクロマティックな経過音が随所に挟まれ、切なさと温かさが同居する独特の情感を生んでいる。プッチーニのオペラトスカの一節との類似も指摘されるなど、クラシカルな品格を持つ旋律が大きな魅力である。
ナット・キング・コールの1954年の録音がこの曲を決定的にしたが、ジャズの文脈では多くのインストゥルメンタル奏者がバラードとして取り上げている。エルヴィス・コステロやトニー・ベネットのカヴァーも広く知られ、世代を超えて愛され続ける普遍的な名曲である。