「Between the Devil and the Deep Blue Sea」は、作曲家ハロルド・アーレン(1905–1986)と作詞家テッド・ケーラーが1931年に書いたジャズ・スタンダードである。ハーレムの名門ナイトクラブ、コットン・クラブのレヴュー『Rhyth-Mania』で歌手エイダ・ウォードによって初演された。
曲は32小節のAABA形式、キーはFメジャー。アーレンの洗練されたメロディにはブルー・ノートが自然に溶け込み、ポップスの枠組みの中にブルースのエッセンスが巧みに織り込まれている。スウィング感あふれるリズムと、恋愛の葛藤をユーモラスに描いた歌詞が絶妙にマッチしており、アップテンポでもミディアムでも演奏映えする。ジャズの教育現場でもAABA形式やブルース要素の分析に用いられる定番曲の一つだ。
最初の録音は1931年のキャブ・キャロウェイ楽団によるもので、続いてルイ・アームストロングも1932年にレコーディングしている。ヴォーカル・ジャズの名演としてはエラ・フィッツジェラルドの1960年録音(『Harold Arlen Songbook』収録)が広く知られている。