「September Song」は、ドイツ生まれの作曲家クルト・ヴァイルが1938年のブロードウェイ・ミュージカル『Knickerbocker Holiday』のために書いた楽曲で、作詞はマクスウェル・アンダーソン。老いた総督ピーター・スタイヴェサントを演じるウォルター・ヒューストンのために、彼のしゃがれた声と限られた声域に合わせて短時間で作られたという。
5月から12月までの季節を人生に見立てたメタファーが歌詞の核であり、老年期にさしかかった人物が若い恋人に残り少ない日々を共に過ごそうと訴える。キーはCメジャーが一般的。ヴァイルのヨーロッパ的な作曲センスが、ティン・パン・アレー的な枠組みの中で独特の深みと陰影を生み出している。ハーモニーには半音階的な動きが多く、メロディの情感をいっそう引き立てる。
ビング・クロスビー(1943年)やフランク・シナトラ(1946年)の録音がポピュラー音楽として広く普及させた。ジャズの名唱としてはサラ・ヴォーンの1955年版、エラ・フィッツジェラルドのピアニストポール・スミスとの1960年版が定評がある。