「Secret Love」は、作曲家サミー・フェインが1953年のミュージカル映画『カラミティ・ジェーン』のために書いたバラードで、作詞はポール・フランシス・ウェブスター。主演のドリス・デイが歌い、アカデミー歌曲賞を受賞した。デイのシングルはBillboardで1位を獲得する大ヒットとなった。
キーはE♭メジャー。壮大に上昇するメロディラインが印象的で、冒頭の完全4度の跳躍から6度の跳躍へと広がる旋律の展開が、秘めた恋心が解き放たれていく歌詞の世界観と見事に一致している。ハーモニーはロマンティックかつ素直な進行で、ジャズの文脈ではバラードやボサノヴァのフィールで演奏されることが多い。映画音楽出身のスタンダードながら、ジャズ・ミュージシャンにとっても魅力的な素材である。
ドリス・デイのオリジナル版(1953年、Columbia)が決定的だが、ジャズの分野ではドナルド・バードのSlow Drag(1967年、Blue Note)での演奏が名高い。シダー・ウォルトン(ピアノ)、ビリー・ヒギンズ(ドラムス)らとの好サポートを得た温かみのある好演である。