「The Preacher」は、1955年にホレス・シルヴァーが作曲したハード・バップの代表曲である。シルヴァーはアート・ブレイキーと共にジャズ・メッセンジャーズを結成したピアニスト兼作曲家で、ブルースとゴスペルのフィーリングをモダン・ジャズに融合させた先駆者だ。本曲はシルヴァー初のヒット・シングルとなった。
形式は16小節のAB構成で、キーはFメジャー。「Show Me the Way to Go Home」のコード進行に基づいており、ゴスペル的な手拍子を誘うような、親しみやすくファンキーなメロディが特徴だ。シルヴァー自身が「古き良きガットバケット(泥臭い)な酒場のフィーリングを、バックビートの味付けで表現したかった」と語ったように、知的さよりもグルーヴとソウルを前面に押し出した楽曲である。
初録音はHorace Silver and the Jazz Messengers(1955年、Blue Note)に収められており、ケニー・ドーハム(トランペット)、ハンク・モブレー(テナー)、ダグ・ワトキンス(ベース)、アート・ブレイキー(ドラムス)が参加。ジミー・スミスのオルガン版(1956年)も名演として知られている。