「Poor Butterfly」は、1916年にレイモンド・ハベルが作曲した楽曲で、プッチーニのオペラ『蝶々夫人』にインスパイアされて書かれた。ブロードウェイのショー『The Big Show』で初演され、以来100年以上にわたり愛され続けているスタンダードである。
形式は32小節、キーはA♭メジャーが一般的。オペラ的な美しい旋律線と、哀愁を帯びたハーモニーが特徴で、ジャズ・バラードとして深い情感を引き出す素材となっている。メロディの音域が広く、演奏者の表現力が試される楽曲だ。半音階的な動きや、短調への一時的な転調が曲に奥行きを与えている。
ジャズにおける決定的な録音としては、ソニー・ロリンズとJ.J.ジョンソンが共演したSonny Rollins, Vol. 2(1957年、Blue Note)が名高い。またフランク・シナトラとデューク・エリントン楽団の共演アルバムFrancis A. & Edward K.(1967年)での歌唱も印象深い。