「Over The Rainbow」は、1939年の映画『オズの魔法使い』のためにハロルド・アーレンが作曲した楽曲である。アーレンは「Stormy Weather」「Blues in the Night」など数々のスタンダードを生み出したアメリカン・ソングブックの巨匠であり、本曲はジュディ・ガーランドの歌唱で世界中に知られるようになった。
形式は32小節のAABAで、オリジナル・キーはA♭メジャー。冒頭のメロディが1オクターヴを跳躍する大胆な音程で始まるのが最大の特徴で、遠い虹の彼方への憧れを音で表現している。ブリッジはアーレン自身が「子供のピアノ練習曲」にヒントを得たと語った対照的なセクションで、Aセクションの広がりとは異なる親密な雰囲気を生み出す。ジャズの文脈ではバラードとして演奏されることが多く、豊かなリハーモナイゼーションの余地がある進行も魅力的だ。
ジャズにおける名演としては、アート・テイタムの超絶技巧ソロ・ピアノ版や、エラ・フィッツジェラルドのヴォーカル版が特に有名である。アメリカ映画協会の「映画名曲100選」第1位にも選ばれた、アメリカ音楽を象徴する1曲だ。