「ニアネス・オブ・ユー」(正式には「The Nearness of You」)は、ホーギー・カーマイケルが1937年に作曲したバラードの名曲である。もともとはパラマウント映画のために書かれたが映画は製作されず、1940年に出版されてグレン・ミラー楽団の録音でヒットした。
32小節のAABA形式で、キーはFメジャーが標準的。カーマイケルらしい温かく包み込むようなメロディが魅力で、コード進行にはクロマティックな動きやセカンダリー・ドミナントが効果的に配置されている。バラードとして演奏されることが圧倒的に多く、メロディの流麗なラインとハーモニーの豊かさが、演奏者に深い表現を促す。歌詞の「あなたのそばにいるだけで」というシンプルな愛のメッセージが、楽曲の穏やかな美しさと完璧に調和している。
ジャズにおける金字塔的録音は、エラ・フィッツジェラルドとルイ・アームストロングのデュエット・アルバムElla and Louis(1956年)収録のバージョンで、オスカー・ピーターソンのピアノが寄り添う。2002年のノラ・ジョーンズのデビュー・アルバムCome Away with Meでもこの曲が取り上げられ、新世代のリスナーにも広く親しまれている。