「ナーディス」は、マイルス・デイヴィスが1958年にキャノンボール・アダレイのアルバムPortrait of Cannonballのために書いた楽曲である。興味深いことに、デイヴィス自身はこの曲を一度も録音しておらず、代わりにピアニストビル・エヴァンスがキャリアを通じて演奏し続けたことで、エヴァンスの代名詞的な楽曲となった。
32小節のAABA形式で、キーはEマイナー。フリジアン・ドミナント・スケールとダブル・ハーモニック・スケール(ジプシー・マイナー)を用いた独特のモーダルなサウンドが最大の特徴である。Aセクションはメロディが高いEから低いEへ2段階で下降し、ブリッジではCメジャーへ移行してより伝統的なハーモニック・ムーヴメントを見せる。ラテン・フィールとスウィングの両方で演奏され、マイルスのモーダル期の実験精神を色濃く反映している。
最も重要な録音群はビル・エヴァンスのトリオによるもので、Explorations(1961年)をはじめ、キャリア後期に至るまで数多くのライヴ・アルバムに収められている。特に1979年のシュトゥットガルトでの演奏(マーク・ジョンソン、ジョー・ラバーベラとの「ラスト・トリオ」)は、エヴァンス晩年の凄絶な即興の記録として名高い。