「マイ・ロマンス」は、リチャード・ロジャーズが作曲し、1935年のブロードウェイ・ミュージカルJumboのために書かれた楽曲である。ロレンツ・ハートの歌詞は、月や青い入り江、ソフトなギターといったロマンチックな定番を「必要ない」と否定しながら、二人の間の純粋な愛を歌い上げる。
32小節のABAC形式で、キーはB♭メジャーが標準。一般的なAABAではなく、3番目のセクションが新しい素材で書かれたCセクションとなっている点がユニークだ。CセクションはBセクションのハーモニー(IVへの転調)を一部引き継ぎつつ、Aセクションのリズム・パターンとメロディの輪郭を反映する。シンプルで美しいメロディに豊かなコード・ハーモニーが寄り添う構造は、バラード、ミディアム・スウィング、ラテン、ワルツなど多様なテンポやスタイルでの解釈を許容する柔軟性を持っている。
ジャズにおける代表的な録音は、ビル・エヴァンス・トリオがアルバムWaltz for Debby(1961年)で披露したミディアム・テンポのスウィング・バージョンである。ベン・ウェブスターのバラード解釈も複数残されており、この曲の表現の幅広さを物語っている。