「マイ・フーリッシュ・ハート」は、1949年にヴィクター・ヤングが作曲し、ネッド・ワシントンが作詞した映画音楽由来のバラードである。同名映画(日本未公開題:愚かなり我が心)のテーマ曲として書かれ、アカデミー賞最優秀楽曲賞にノミネートされた。
キーはB♭メジャーで、32小節のAABA形式をとる。ヤングのメロディは穏やかに揺れるような美しいラインを描き、恋に落ちる瞬間の胸の高鳴りと不安を繊細に表現している。ハーモニーはI-VI-II-V進行を基調としつつ、ブリッジで半音階的な動きを見せ、情感の深まりを演出する。テンポはスロー・バラードが定番で、ピアニストやサックス奏者が好んで取り上げるレパートリーである。
ジャズにおける決定的な録音は、ビル・エヴァンス・トリオが1961年にニューヨークのヴィレッジ・ヴァンガードで収録したライヴ盤Waltz for Debbyに収められたヴァージョンである。スコット・ラファロ(ベース)とポール・モチアン(ドラムス)との三位一体のインタープレイは、ピアノ・トリオの最高峰として今なお語り継がれている。ビリー・エクスタインの1950年のヴォーカル版もヒットを記録した。