「ムーブ」は、ドラマーデンジル・ベストが作曲したビバップ・ナンバーで、マイルス・デイヴィスのノネット(9人編成)によるクール・ジャズの金字塔Birth of the Coolに収録されたことで広く知られている。1949年1月21日にCapitolレーベルのために録音された。
キーはB♭メジャーで、32小節のAABA形式をとる。コード進行はカウント・ベイシーの「ジャンピン・アット・ザ・ウッドサイド」と同じ和声構造に基づいている。ビバップの疾走感あふれるメロディ・ラインが特徴だが、ジョン・ルイスによるアレンジは、フレンチ・ホルンやチューバを含むノネットの編成を活かし、ビバップの鋭角的なフレージングを洗練されたアンサンブル・サウンドへと昇華させている。アップテンポのスウィングで演奏され、ソロとアンサンブル・パッセージが緊密に統合された構成が印象的だ。
決定的な録音は前述のBirth of the Coolセッション(1949年)で、マイルス・デイヴィス(トランペット)、リー・コニッツ(アルト・サックス)、ジェリー・マリガン(バリトン・サックス)、カイ・ウインディング(トロンボーン)、アル・ヘイグ(ピアノ)、マックス・ローチ(ドラムス)らが参加している。それ以前にファッツ・ナヴァロが1948年11月にDialレーベルへ録音したヴァージョンも、ビバップ・スタイルでの好演として注目に値する。