「ムース・ザ・ムーチェ」は、ビバップの創始者チャーリー・パーカーが1946年にロサンゼルスで作曲した楽曲である。盟友ディジー・ガレスピーがニューヨークに戻った後、パーカーがLA滞在中に書いたもので、曲名はパーカーが当時関わっていたLA在住の人物のニックネームに由来するとされる。
キーはB♭メジャーで、32小節のAABA形式をとるリズム・チェンジ曲である。コード進行はジョージ・ガーシュウィンの「アイ・ガット・リズム」に基づき、ii-V-Iターンアラウンドを多用している。パーカーのテーマ・メロディは、和声のアウトラインを正確にトレースしながらもクロマティックなアプローチ・ノートとリズミックな工夫に満ちており、ビバップ言語の教科書的存在だ。アップテンポで演奏されることが多く、リズム・チェンジの即興に取り組むプレイヤーにとって必修の一曲である。
オリジナル録音は1946年3月28日、Dialレーベルのためにロサンゼルスで行われた。チャーリー・パーカー・セプテットとして、マイルス・デイヴィス(トランペット)、ラッキー・トンプソン(テナー・サックス)、ドド・マーマローサ(ピアノ)、アーヴィン・ギャリソン(ギター)、ヴィック・マクミラン(ベース)、ロイ・ポーター(ドラムス)が参加した。