「ムーンライト・イン・バーモント」は、1944年にカール・シュースドルフが作曲し、ジョン・ブラックバーンが作詞したバラードである。ヴァーモント州の秋冬の自然を詠んだ歌詞は韻を踏まないという異色の構成で、各ヴァースが俳句のような5-7-5の音節パターンを持つことでも知られる。
楽曲は32小節のAABA形式で、オリジナル・キーはD♭メジャーだが、リアル・ブックではE♭メジャーで記譜されている。Aセクションは6小節という短めの構成で(計AABA = 6+6+8+6+2小節のコーダ)、全体の小節数は通常の32小節からやや変則的になる。メロディは穏やかに弧を描き、ハーモニーはダイアトニックな進行を基本としながらも、ところどころにクロマティックなパッシング・コードが散りばめられ、静謐で詩的な雰囲気を醸し出す。バラードとして演奏されることが多いが、ボサノヴァ・アレンジも人気がある。
初録音は1944年のビリー・バターフィールド楽団によるマーガレット・ホワイティングのヴォーカル版で、大きなヒットとなった。ジャズの世界ではギタリストジョニー・スミスがスタン・ゲッツと共演した1952年の録音が決定的な名演として知られ、多くのギタリストに影響を与えた。エラ・フィッツジェラルドやフランク・シナトラの歌唱版も広く親しまれている。