「ムーングロゥ」は、1933年に作曲家・アレンジャーのウィル・ハドソンが書いたポピュラー・ソングで、のちにエディ・デランジが歌詞を付けた。ハドソンがデトロイトのグレイストーン・ボールルームで率いていたバンドのテーマ曲として誕生し、スウィング時代を代表するスタンダードとなった。
形式は32小節のAABAで、ジャズのフェイク・ブックではGメジャーで記譜されることが多い。Aセクションのメロディは短3度と長3度のインターバルの反復を核とするシンプルなリフで構成され、和声は上行する四度圏進行や半音下降の代理コードを組み合わせたものとなっている。マイナー7thコードが第一転回形で使われることも多く、それがリラックスした甘いムードを生んでいる。フォックストロットのゆったりしたテンポで演奏されることが多いが、アート・テイタムのようにアップテンポで弾く解釈も知られている。
初録音は1933年のジョー・ヴェヌーティ楽団による演奏だが、翌1934年にベニー・グッドマン楽団がヒットさせ、グッドマンの代表曲のひとつとなった。1936年のベニー・グッドマン・カルテット(テディ・ウィルソン、ジーン・クルーパ、ライオネル・ハンプトン)による録音も名演として名高い。1955年の映画『ピクニック』ではジョージ・デュニングの「ピクニックのテーマ」とのメドレーが大ヒットした。