「ミスティー」は、1954年にアメリカのジャズ・ピアニストエロール・ガーナーが作曲したバラードである。独学でピアノを習得し、楽譜を読めなかったにもかかわらず、スウィングからバラードまで幅広いスタイルで人気を博したガーナーの代表作として、ジャズ史に残る名曲となった。
楽曲はE♭メジャーの32小節AABA形式で書かれている。A セクションではI-VI-II-Vの循環進行やII-V-Iの連結が美しく配置され、ロマンティックなメロディが滑らかに展開する。ブリッジではサブドミナント方向への転調が曲に奥行きを与えている。テンポはスローバラードが基本で、豊かなハーモニーの上で歌い上げるメロディの美しさが最大の魅力である。ヴォーカル、ピアノ、管楽器いずれのプレイヤーにも愛されるスタンダードだ。
決定的な録音は、ガーナー自身が1954年にトリオで録音したオリジナル版(アルバムContrasts収録)である。のちにジョニー・マティスが1959年のアルバムHeavenlyで歌い大ヒットさせ、ポップスの世界にもこの曲を広めた。サラ・ヴォーンがクインシー・ジョーンズのアレンジで録音した1958年のパリ・セッションも名盤として知られる。