「マンハッタン」は、1925年のブロードウェイ・レヴューギャリック・ゲイティーズのためにリチャード・ロジャースが作曲した楽曲である。作詞はロレンツ・ハート。ニューヨークの街を恋人たちの遊び場として描いた洒脱な歌詞で、ロジャース&ハートの出世作となった。
形式は32小節で、優雅なメロディ・ラインとクロマティックな動きを含む洗練されたハーモニーが特徴である。一般的な演奏キーはCメジャーまたはFメジャー。A セクションでは跳躍を交えた明るいメロディが都会的な雰囲気を醸し出し、ブリッジでは転調によって場面が変わるような効果を生む。テンポはミディアム~アップテンポのスウィングで演奏されることが多く、コード進行の要所にあるII-V-Iの動きがインプロヴィゼーションの骨格を作っている。
代表的な録音としては、エラ・フィッツジェラルドの1956年のアルバムElla Fitzgerald Sings the Rodgers and Hart Songbookが決定版といえる。また、オスカー・ピーターソンやブロッサム・ディアリー(1959年のアルバムOnce Upon a Summertime収録)による洗練されたピアノ・トリオの演奏も名高い。