「ロング・アゴー・アンド・ファー・アウェイ」は、ジェローム・カーンが1944年のテクニカラー映画Cover Girlのために作曲したバラードである。カーンはブロードウェイとハリウッドの両方で活躍し、「Smoke Gets in Your Eyes」「The Way You Look Tonight」など数多くの不朽のスタンダードを生み出した。
楽曲はAABA形式・32小節で、キーはF(またはE♭)メジャーが一般的。カーンらしい優美な上昇旋律が、ノスタルジアと憧れの感情を見事に音楽化している。ハーモニーはリッチかつ洗練されており、メロディの流麗な動きがバラード・テンポの中で自然と歌心を引き出す。アカデミー賞歌曲賞にもノミネートされた名曲だ。
フランク・シナトラの1944年録音やアルバムSongs for Young Lovers(1954年)での歌唱が有名。チェット・ベイカーのアルバムChet Baker Sings and Plays(1955年)での甘美なヴァージョンや、オスカー・ピーターソンのOscar Peterson Plays the Jerome Kern Songbook(1959年)でのピアノ・トリオ演奏も定番として親しまれている。