「Autumn in New York」は、ロシア生まれの作曲家ヴァーノン・デューク(1903–1969)が1934年に作曲したジャズ・スタンダードである。クラシックとポピュラーの両分野で活躍したデュークが、コネチカット州での避暑中にマンハッタンへの郷愁から詩を書き、自ら曲をつけた。ブロードウェイ・レヴューThumbs Up!で初演された。
曲は32小節で、通常キーはFメジャー。最大の特徴はセクションごとに頻繁に転調する和声の豊かさにある。マイナー・キーへの一時的な逸脱やクロマティックな進行が哀愁と都会的な洗練を同居させ、デューク自身が「ポピュラー・アピールに欠ける」と評したほど歌いこなすのが難しい反面、即興演奏の素材としては非常に魅力的だ。秋のニューヨークの美しさと寂寥感を音で描いた、唯一無二のバラードである。
代表的な録音は、1952年のビリー・ホリデイの情感あふれる歌唱や、ビル・エヴァンス・トリオによるリリカルなピアノ・ヴァージョン。チャーリー・パーカーのウィズ・ストリングス・セッションでの録音も忘れがたい。