「ローラ」は、デイヴィッド・ラクシンが1944年のフィルム・ノワール映画Lauraのテーマ曲として作曲した楽曲である。ラクシンはハリウッドの映画音楽作曲家として100本以上のスコアを手がけ、アーノルド・シェーンベルクに師事した経歴も持つ。
楽曲はAABA形式・32小節で、Gメジャーで始まるが、印象派的な和声語法により調性が流動的に移ろう。全音階的な転調を含む豊かなハーモニーが、映画の持つミステリアスな雰囲気を音楽的に体現している。メロディは主音ではなく属音のDから始まり、半音階的な装飾音を伴いながら上昇・下降を繰り返す、どこか陰影のある美しい旋律だ。バラード・テンポで演奏されることが多く、そのリハーモニゼーションの可能性の広さから、ジャズ・ミュージシャンに深く愛されてきた。
チャーリー・パーカーのウィズ・ストリングス録音(1950年)は、アルト・サックスと弦楽の共演による名演として名高い。クリフォード・ブラウンの情感豊かなトランペット・ヴァージョンや、エロール・ガーナーの1945年の録音も、この曲の多面的な魅力を伝える重要な演奏である。