「キーピン・アウト・オブ・ミスチーフ・ナウ」は、1932年にファッツ・ウォーラーが作曲したバラードである。ウォーラーはストライド・ピアノの巨匠であり、作曲家・エンターテイナーとして1930〜40年代のジャズ・シーンに多大な影響を与えた。
楽曲はAABA形式・32小節で、キーはE♭が一般的。テンポはスロー〜ミディアムで演奏されることが多く、優美で歌心あふれるメロディが持ち味だ。コード進行は穏やかなダイアトニック進行を軸に、ブリッジでのIV度方向への転換が柔らかなコントラストを生む。ウォーラーらしい温かさとロマンティックな情感に満ちた佳曲であり、ストライド・ピアノのスタイルでも、モダン・ジャズの文脈でも魅力的に響く。
ルイ・アームストロングによる1932年の初録音が歴史的に重要。ファッツ・ウォーラー自身のピアノ・ソロ(1937年)はストライド奏法の粋を聴かせる名演であり、セロニアス・モンクがコンサートで取り上げたことでも知られ、モダン・ジャズにおけるこの曲の価値を示している。