「ジャスト・ワン・オブ・ゾーズ・シングス」は、コール・ポーターが1935年のミュージカルJubileeのために書いた楽曲である。ポーターは作詞・作曲の両方を手がける稀有なソングライターとして、数多くの洗練されたスタンダードを世に送り出した。
形式はAABA・64小節で、各セクションが16小節と通常の倍の長さを持つのが大きな特徴。キーはCまたはFで演奏されることが多い。アップテンポのスウィングで演奏されるのが定番で、メロディは簡潔ながらも長いフォームの中でドラマチックに展開する。コード進行はシンプルだが、ポーター特有のウィットに富んだ旋律の動きが、即興演奏に豊かな表現の幅を与えている。
エラ・フィッツジェラルドのElla Fitzgerald Sings the Cole Porter Song Book(1956年)でのスキャットを交えた歌唱は決定的な名演として知られる。また、アート・テイタムの1953年のトリオ録音は圧倒的な技巧とハーモニーの豊かさで際立ち、ナット・キング・コールのアルバムJust One of Those Things(1957年)も名盤として親しまれている。