「ジェニー」は、デューク・ピアソンが1960年頃に作曲したハード・バップの名曲。ピアソンは彼の姪の美しい瞳にインスピレーションを受けてこの曲を書いたと伝えられている。ブルーノート・レコードのプロデューサーとしても活躍した、1960年代ジャズの重要人物である。
AABA形式のアップテンポ・スウィングで演奏されることが多く、キャッチーなメロディラインが耳に残る。Aセクションではマイナー・キーを中心としたii-V進行が軽快に展開し、ブリッジではキー・チェンジを伴って新鮮な色彩が加わる。テンポは178 BPM前後が標準的で、ソロイストにとっては快適にスウィングしながらハーモニックなアイデアを展開できる好素材である。
最も有名な録音は、キャノンボール・アダレイ・クインテットの1960年のアルバムThem Dirty Bluesに収録されたヴァージョン。弟ナット・アダレイのコルネットとの痛快なコンビネーションが光る。ドナルド・バードのAt the Half Note Cafe(1960年)での演奏もまた、ハード・バップの醍醐味を堪能できる名演である。