「アイブ・グロウン・アカスタムド・トゥー・ハー・フェイス」は、フレデリック・ロウが作曲し、アラン・ジェイ・ラーナーが作詞したミュージカルマイ・フェア・レディ(1956年)の終盤を飾るナンバー。ヒギンズ教授がイライザへの愛着を独白する場面で歌われ、レックス・ハリソンの語りかけるような歌唱で知られる。
原調はEbメジャーで、AABA形式に近い構成をとる。ロウのメロディは穏やかな順次進行を主体としており、感傷的でありながら抑制の効いた上品な表情を持つ。ハーモニーはブロードウェイの伝統に則ったダイアトニックな進行が中心だが、ブリッジでの転調が感情の揺れを巧みに表現している。バラード・テンポで演奏されることが多く、ジャズではピアノ・トリオやヴォーカルによる親密な解釈が好まれる。
ジャズにおいては、シェリー・マンとアンドレ・プレヴィンによるアルバムMy Fair Lady(1956年)での演奏が先駆的な録音として高く評価されている。クール・ジャズ的なトリオ編成で原曲のエッセンスを見事に抽出した名盤である。トニー・ベネットのヴォーカル・ヴァージョンも、温かみのある歌声で多くのファンに愛されている。