「アイブ・ゴット・ア・クラッシュ・オン・ユー」は、ジョージ・ガーシュウィンが作曲し、兄アイラ・ガーシュウィンが作詞したナンバー。1928年のブロードウェイ・ミュージカル『トレジャー・ガール』で初演された後、1930年の『ストライク・アップ・ザ・バンド』でも使われた珍しい経歴を持つ。
32小節のAABA形式で、原調はBbメジャー。もともとは軽快なアレグレット風のダンス・ナンバーとして書かれたが、1939年にリー・ワイリーがバラードとして録音したことで人気に火がつき、以後はゆったりとしたテンポで歌われることが多い。ハーモニーはガーシュウィンらしい洗練されたii-V進行とクロマティックな装飾音が随所に見られ、メロディの優美な歌心と相まって、ヴォーカル・ジャズの名曲として愛されている。
最も有名な録音の一つは、フランク・シナトラのコロンビア時代のヴァージョンで、甘く力強いクルーナー・スタイルが際立つ。またエラ・フィッツジェラルドは1959年のアルバムElla Fitzgerald Sings the George and Ira Gershwin Song Bookで、ネルソン・リドル編曲のオーケストラをバックに決定的な名演を残している。