「I Remember Clifford」は、テナー・サックス奏者で作曲家のベニー・ゴルソンが1956年に書いた、ジャズ史上もっとも美しい追悼曲のひとつ。25歳の若さで自動車事故により世を去ったトランペッター、クリフォード・ブラウンへの哀惜を込めた作品である。
キーはE♭メジャーで、32小節のAABA形式をとるが、各Aセクションにコードや小節数の微妙な変化がある独特の構造を持つ。6小節のイントロダクションが荘厳な雰囲気を醸し出し、テーマへと導く。冒頭4小節のベースラインはE♭からほぼ半音階的に上昇し、精緻なハーモニーの中にゴルソンならではの温かみが宿る。バラード・テンポで演奏されるこの曲は、特にトランペットやフリューゲルホルンのソロ・フィーチャーとして愛されてきた。
初録音は1957年のドナルド・バードとジジ・グライスのセッション。同年のディジー・ガレスピーによるニューポート・ジャズ・フェスティバルでのライヴも有名である。最も広く知られる録音は、リー・モーガンが参加したアート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズのMoanin'(1958年)収録版であろう。アート・ファーマーによるMeet the Jazztet(1960年)での叙情的な演奏も名高い。