「In Love in Vain」はジェローム・カーンが作曲し、レオ・ロビンが作詞した楽曲で、1946年の映画『Centennial Summer』のために書かれた。カーンの遺作映画となった同作のスコアの中でも、片思いの切なさを歌ったこのトーチ・バラードはとりわけ深い情感を湛えている。
形式は32小節のAABA、キーはAbメジャーまたはFメジャーで演奏されることが多い。A セクションのメロディはカーンらしい優美な旋律線で、ゆったりとした跳躍とクロマティックな動きが交差する。コード進行はii-V-Iを基調としつつも、転調的なii-Vの連鎖やディミニッシュ経過和音が繊細な色彩を加え、歌詞の「報われない恋」のテーマを音楽的に描き出している。バラードとして演奏されるのが一般的で、ヴォーカリストに高い表現力を求める一曲である。
カーメン・マクレエの初期録音(1953年頃、ラリー・エルガート楽団との共演)は、この曲のジャズ・ヴォーカルにおける重要な解釈である。マーガレット・ホワイティングによる映画サウンドトラック版がオリジナルの歌唱として知られ、近年でもジャズ・ヴォーカリストに愛され続けている隠れた名曲である。