「In a Sentimental Mood」は1935年、デューク・エリントンがノースカロライナ州ダーラムのパーティーの席で即興的に生み出したとされる楽曲である。作詞はマニー・カーツとアーヴィング・ミルズ。エリントン楽団が同年にブランズウィック・レコードへ録音し、ビルボード・チャート14位を記録した。
形式は32小節のAABA、キーはFメジャー(ブリッジはDbメジャー)が一般的である。A セクションはDマイナーから始まり、上行するペンタトニック・スケールを基調としたメロディがマイナーからメジャーへと解決する印象的な動きを見せる。ブリッジではDbメジャーへ大胆に転調し、広がりのあるロマンティックな空間を創出する。メジャー/マイナーの対比とリモート・キーへの転調が、この曲の持つ独特の憂いと甘美さを生み出している。スロー・バラードとして演奏されるのが標準的である。
最も有名な録音はデューク・エリントンとジョン・コルトレーンの共演盤Duke Ellington & John Coltrane(1963年)に収録されたバージョンで、エリントンのピアノとコルトレーンのテナーが織りなす親密なデュオが絶品である。エラ・フィッツジェラルドのElla Fitzgerald Sings the Duke Ellington Song Book(1957年)における歌唱も決定的な名唱として知られる。