「I'm Old Fashioned」は1942年、ジェローム・カーンが作曲し、ジョニー・マーサーが作詞した楽曲で、映画『You Were Never Lovelier』の中でフレッド・アステアとリタ・ヘイワースの共演シーンに使用された。カーン晩年の傑作のひとつとして、今日まで多くのジャズ・ミュージシャンに演奏され続けている。
形式は36小節(A-B-C-D構成で16-8-12小節)と、一般的な32小節AABA形式とは異なるユニークな構造を持つ。キーはFメジャーが標準的。A セクションはI-VI-ii-V進行を軸にダイアトニックで歌いやすいメロディが流れ、B セクションではセカンダリー・ドミナントやディミニッシュを経由する繊細な転調が聴かれる。D セクション(12小節)はバックドア・ドミナント(bVII7)を含む拡張されたハーモニーが特徴的で、曲全体に優美な奥行きを与えている。バラード〜ミディアム・テンポで演奏されることが多い。
ジャズにおける決定的な録音はジョン・コルトレーンのアルバムBlue Train(1957年)に収録されたバージョンである。チェット・ベイカーもIt Could Happen to You(1958年)で歌と演奏を披露しており、ヴォーカル・ジャズの好素材としても名高い。