「I'm in the Mood for Love」は1935年、ジミー・マクヒューが作曲し、ドロシー・フィールズが作詞した楽曲で、映画『Every Night at Eight』の中でフランセス・ラングフォードが歌い注目を浴びた。マクヒューとフィールズのコンビ最後の共作曲であり、ルイ・アームストロングの録音(全米3位)などにより瞬く間にスタンダードとなった。
形式は32小節のAABA、キーはCメジャーが原調で、Ebメジャーでも広く演奏される。A セクションのメロディは穏やかに下降する音形を基調とし、ii-V-Iを中心とした温かみのあるハーモニーの上を滑らかに進む。ブリッジではIVメジャーへ向かう転調が甘いロマンティックな色合いを加える。バラードとして演奏されるのが一般的だが、ミディアム・テンポのスウィングでも映える。この曲のコード進行上でジェイムス・ムーディが1949年にアルト・サックスで即興演奏を行い、それにエディ・ジェファーソンが歌詞を付けた「Moody's Mood for Love」はヴォーカリーズの金字塔として知られる。
ムーディの1949年録音はバップ史上の名演であり、キング・プレジャー(ヴォーカル:ブロッサム・ディアリー)による1952年のヴォーカリーズ版も必聴である。チャーリー・パーカーのカルテット録音(1950年、ハンク・ジョーンズ、レイ・ブラウン、バディ・リッチ参加)もバップ期の重要な一枚である。