「I Get a Kick Out of You」は、コール・ポーターが作詞・作曲を手がけた楽曲で、1934年のブロードウェイ・ミュージカルAnything Goesでエセル・マーマンにより初演された。ポーターは洗練されたウィットと知的な歌詞で知られる、グレート・アメリカン・ソングブックを代表するソングライターである。
形式は拡張された32小節構成で、オリジナルの出版キーはEbメジャー。Aセクションでは、シャンパンも飛行機も自分を興奮させない——唯一「あなた」だけがそうだ、というウィットに富んだ歌詞が、長い音価を持つ優雅なメロディに乗せられる。ハーモニーにはポーター特有の洗練されたコード進行が用いられ、半音階的な動きやサプライズ的な転調がスパイスを加えている。テンポはミディアム・スウィングが定番だが、バラードやアップテンポでも演奏される。
フランク・シナトラの数々の録音がこの曲のスタンダードとしての地位を不動のものにした。ジャズ・インストゥルメンタルではクリフォード・ブラウン=マックス・ローチ・クインテットの1954年の録音がバップ・スタイルの名演として知られる。エラ・フィッツジェラルドのCole Porter Songbook(1956年)収録版も、この曲の魅力を余すところなく伝えている。