「If I Should Lose You」は、1935年にラルフ・レインジャーが作曲し、レオ・ロビンが作詞した楽曲で、1936年のパラマウント映画Rose of the Ranchoで初披露された。レインジャーはハリウッドの映画音楽作曲家として活躍し、「Thanks for the Memory」(アカデミー歌曲賞受賞)などの名曲を残している。
32小節ABAB'形式で、オリジナル・キーはAマイナーだが、ジャズではGマイナー(Bbメジャー)で演奏されることが最も多い。Gマイナーから始まるものの、曲全体を通してマイナーのトーナル・センターが確立されるわけではなく、最終的にBbメジャーに解決するという調性の揺らぎが独特の雰囲気を生み出している。ii-V進行が随所に現れ、バラード、ミディアム・スウィング、さらにはモダンな解釈まで、多様なアプローチに対応できる懐の深い楽曲である。
チャーリー・パーカーがCharlie Parker with Strings(1949年録音)で取り上げたことで、ジャズ・ミュージシャンの間で広まった。ハンク・モブレーのアルバムSoul Station(1960年)に収録されたハードバップ版も、この曲の代表的録音として高く評価されている。